2010年04月19日

AHAハートセイバー血液感染性病原体コース

たいへんご無沙汰しております。
めっつぇんばーむです。

久々のコース開催報告、今回は Heartsaver Bloodborne Pathogens(ハートセイバー血液感染性病原体コース)です。


公募コースとしては日本で2番目だったかもしれません。

そんな希少なコースに参加してくださった面々は多彩です。

医師、看護師、医学生、会社員、スポーツインストラクター、中学生、AHA-BLSインストラクター候補者、某ITC BLSインストラクター。


あまりにバラバラすぎてモチベーションの持っていき方に困ってしまいましたが、結果的には医療現場に偏りすぎてちょっと失敗だったかなと反省。

もともとアメリカ国内で血液に触れる可能性がある職種への法定義務講習ですから、その存在意義自体が日本では微妙なのは明らか。このコースがドンぴしゃの方はそうそういません。

このコースから100%の恩恵を預かる人は日本にはいませんから、日本ではもてあますこのコースの中からどれだけ実用的なエッセンスを持ってかえってもらえるかが勝負どころ。

やっぱり募集段階である程度、対象を絞るなり銘打ってしまった方がいいのかなと思いました。

今後、AHAハートセイバーファーストエイドコースとの抱き合わせ開催(?)を考えていますが、この場合は必然的にファーストエイド・プロバイダーのための血液媒介病原体対策という大義名分でいいのかな。


血液を通して感染する病気に関する知識は医療従事者であれば常識的に知っています。(まあ、医療者と言えけっこうアヤシイという現実はありますが)

それを一般市民レベルまで周知徹底しようというアメリカの考え方はすごいですね。

これはOSHA(米国労働安全衛生局)基準で規定されていることなのですが、HIVが蔓延したのをきっかけに制定された法律のようなもの。

日本人で、一般市民層ではさほど気にされない点ですが、秋葉原の通り魔事件でにわかにクローズアップされました。

日本でもアメリカ並みに人々の意識に上るようになるのかなぁ、、、、

せめて必要な立場・職種の人には是非知っていて欲しい内容です。
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2009年09月29日

緊急通報の仕方、奥が深い!

こんばんは。めっつぇんばーむです。

今日もファーストエイドの話です。


各種ハートセイバーコースの中に含まれている重要な項目に「緊急通報の仕方」があります。

これもとかくヘルスケアプロバイダーコースばかり開催しがちな日本のBLSインストラクターにとってはけっこう盲点かもしれません。

その大切さは誰もが頭ではわかっていますが、試しにシミュレーショントレーニングをしてみると意外と皆さん、引っかかります。

市民が参加しているハートセイバーコースで、職場にいるつもりで119番してみてくださいというと、ほとんどの人は現在地の住所が言えません。大きな目標物は? と言ってもなかなか出てこない様子。


ハートセイバーのDVDで良くできているなぁと思うのは、「電話の近くに緊急通報番号を張っておくのもいいでしょう」という場面。

まあ、日本では全国的に119番なので、わざわざ掲示する必要もない気がしますが、DVD映像の中の掲示内容を見てみると、意外と手が込んでいるというか、なるほどなぁという感じなのです。

一語一句同じではありませんが、こんな感じです。


Emergency call

9-911

security 2328
maintenance 3423


911というのが、アメリカの119番相当番号です。

でも頭についている「9−」というのに注目。

これはなにかというと、いわゆるゼロ発信。

構内交換機がある場合の、外線につなげるための発信番号です。

つまり大きなオフィスだったり、工場だったりした場合、ただ受話器を上げて119番しても内線につながるだけで消防本部にはかからない場合があるということです。

これ、意外な盲点だと思いません?


誰もが119番を覚えていても、必ずしもそれで十分ではないのです。


さらに続く、

security 2328
maintenance 3423

というのは、日本で言うところの警備員室と施設管理課の番号。

大きな工場などでは、救急車が構内に入るためにゲートを開けてもらう必要があるかもしれませんし、広いオフィスビルの中では救急隊員を誘導するために警備員室に連絡をしておくことも重要です。

いざというときにそこまで気を回すのは、普通の人には無理。

ですから、本気で危機管理を考えたら、こういう番号の一覧を掲示しておくことは本当に意味があることです。

以上は、ハートセイバーコースがその前提としている企業内での緊急事態の話ですが、たとえば、道ばたを歩いているときに事故を目撃して通報するとき、皆さんはどうしますか?

家の近所ならいいですが、不慣れな土地で場所を的確に伝えるにはどうやって通報したらいいでしょう?

答えは簡単。自分で通報せずに人に頼めばいいんです。

近所にお店があれば、そこの店員さんにお願いする。場合によっては近所の民家とか。

的確に場所を伝えてくれますし、もしかしたら救急車を誘導してくれるかもしれないし、水とか毛布とか必要なものを提供してくれるかもしれない。


たかが通報ではありますが、まじめに考えると、この項目だけで結構時間が過ぎてしまいます。
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2009年09月27日

血液感染性病原体対策

こんにちは。めっつぇんばーむです。

なんとなくシリーズ化していきたいなと思っているファーストエイドの話、第二弾です。

これはいつも私がAHAハートセイバー・ファーストエイドコースを開くときに、まず最初に話をさせてもらっている点なのですが、アメリカ合衆国のOHSA規格で作られたAHAのファーストエイドコースは、日本のいわゆる救急法とはコンセプトがかなり違います。

・日本従来からの救急法・・・善意に基づく応急手当

・AHA(OSHA)のファーストエイド・・・職業・社会的に責任ある立場で行う応急手当

これだけを見ると、なにが違うんだろう? という感じかも知れませんが、実は相当な違いです。

AHAなどでOSHA認定のファーストエイド・プロバイダー資格を取得した人は、アメリカの企業であれば衛生管理者的な役割・責任が生じます。

責任といっても、アメリカの枠組みでは負担にならないようなうまい仕組みができているので、決してたいへんなことではないのですが、それでも仕事の一環として応急手当てを行う以上、それがきっかけで労働災害を被ったり、二次被害に遭わないように特別な注意を払う必要があります。

具体的にいうと、安全確保の重要性が強調されています。

中でも時間を割いているのが、血液感染性病原体対策。つまり血液や唾液、体液に触れないように感染防護具を使うことを徹底して教えます。

皆さん、ファーストエイドキットのいちばん上にビニール手袋を入れてますか?

実はファーストエイドは、感染防護具であるビニール手袋がないとはじまりません。

秋葉原での通り魔事件のことを覚えているでしょうか?

何人もの通行人が通り魔に刺されて、DMATが出動したり、通りがかりの救急法の心得のある人が善意で救命活動にあたったり、というニュースは記憶に新しいと思います。

そのとき、後になって被害者の人がC型肝炎のキャリアであることが判明して、救護に当たった市民・救急隊・医療者への感染が懸念される報道が続いた点も覚えてらっしゃると思います。

この秋葉原事件のように不特定多数に対して手をさしのべようと思ったら、手袋着用などの感染防護は絶対に必要で、反対にいえばこれらの装備がない場合は、手出しをするべきではないと教えるのが「職業・社会的に責任ある立場で行う応急手当」なのです。

ハートセイバーファーストエイドコースでは、手袋の使用の重要性を伝えるだけではなく、その正しい「はずし方」(脱ぎ方)を練習します。

手袋を外す際にも、血液被曝の可能性を低くして、手袋に附着した血液がまわりに飛散しないように取り扱う配慮も実は重要です。

血液感染などを考えなくても良い身近な人への応急手当を学ぶのと、不特定多数の人に援助の手をさしのべるのでは、実はアプローチの仕方がかなり違います。

その他、自分の身分を明かしてから応急救護にあたるようにという点、手助けをしてよいか本人に尋ねること、など、アメリカならではの実践的な内容が含まれていて、もしかしたら、眼からウロコな感じもあるかもしれません。


最後に、血液感染性病原体対策についてもう一点。

他人の血液に触れることで病気が媒介される血液感染病原体対策は、アメリカ合衆国では職業安全上、重要なテーマとなっていて、血液感染性病原体対策だけを学ぶ教育プログラムも多数存在します。

アメリカ心臓協会でも2008年に、この分野に参入して新たに Heartsaver Bloodborne Pathogensコース を新設しています。

AMR-JAPANでは、福井を中心に不定期ながらこのコースの開催をしています。
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2009年09月26日

ファーストエイド・ステータス

こんばんは。めっつぇんばーむです。
今日は、AMR-JAPANならではの日本では公式開催されていないAHAプログラム、ハートセイバーファーストエイドコースに絡んだお話です。(HS-FAコースはJRC-ITCでも開講していますが、、、)


日本では、なんとなく救急法全般を指す言葉として使われている「ファーストエイド First Aid」という言葉ですが、アメリカ合衆国ではファーストエイドとCPRははっきりと区別されています。

というのは、アメリカでは、職種によって、ファーストエイド・ステータスが必要な職業、CPRステイタスが必要な職種というのが明確に定められているからです。(もちろん両方必要という場合もあります)

そのファーストエイド・ステータスというのは、アメリカ心臓協会が勝手に決めているものではありません。

米国労働安全衛生局 OSHA(Occupational Safety and Health Administration)が、その内容を決めていて、OSHA規格に合わせてAHAをはじめとする各団体がファーストエイド・プロバイダーコースを設計し、その修了証がファーストエイド・ステータスとなります。

ですから、アメリカにはたくさんの救急蘇生法普及団体がありますが、そのOSHA規格に合わせてますから、団体が違っても展開しているコースのバリエーションと内容はほとんど一緒です。



AHAのBLSインストラクターになる場合、実は以前から医療有資格者以外はファーストエイド・ステータスが必要ということはAHA基準で定められていました。当時はおそらくどの団体が発行したファーストエイド・ステータスで良かったのだと思いますが、2008年のインストラクター基準改訂でAHAのFirst Aid、が必要と改められているのも、密かなチェックポイントです。



ちなみに、日本赤十字社は市民向けの講習しか行っていませんが、アメリカ赤十字(American Red Cross:ARC)は、AHAでいうところのヘルスケアプロバイダーレベルのBLS講習も行っています。CPR/AED for the Professional Rescuerという名称になっています。これはAHAとHCPと互換性があります。

もうひとつAHAからみてライバル視(?)されている団体がNSC(National Safety Council)。

こちらはARCやAHA以上に多彩なコース展開をしていますが、おなくじヘルスケアプロバイダーレベルのBLSは、BLS Healthcare and Professional Rescuersとしてきちんと存在しています。


アメリカでは、善意で行うCPRを教えるコース、職業的な責務として行うCPR、医療従事者レベルでのCPR、それにファーストエイドと、受講対象に合わせてきめ細かにコース設定がされていますが、それはひとえに OSHA 基準という連邦法規がしっかりしているからです。

翻って日本の現状をみると、ほとんどが「善意で行うCPR」を教えるコースだけ。

医療者教育のなかでも、下手すると既定の「善意で行うCPR」コースを行ったりしている現状があったりします。(看護専門学校では特に、、、、)

一言に心肺蘇生(CPR)、ファーストエイドといっても、その内容は対象によって様々。

そんな理解がもう少し日本にも広まるといいなと思っています。
posted by AMR-JAPAN at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | ファーストエイド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする